直噴エンジンと燃料添加剤

2020年以降発売の車のレシプロエンジンの燃料供給方式は「ポート噴射式」と「直接噴射式」の2種類だけ。

 

ざっくり言うと、ポート噴射式はエンジンのシリンダーの外に燃料を噴射している。

それに対し、直接噴射式はエンジンのシリンダー内に燃料を噴射している。

 

ということは、直噴エンジンにスラッジを洗浄する効果のある(という謳い文句の)燃料添加剤を入れた場合は、それはシリンダー内にのみ作用するということになる。

だって直噴だし燃料と一緒に燃えてしまうから。

ポート噴射式の場合はシリンダー外のスラッジにも燃料添加剤の洗浄効果が作用することが期待できるが、直噴は構造上その効果をシリンダー外に期待するのはまず無理。

 

そして残念なことに、燃料添加剤によく入っている「ポリエーテルアミン(PEA)」はなんと「難燃性」の物質である。

つまり燃焼しにくい物質なので、これそのものがスラッジの原因になる可能性があるし、なんなら燃えなかった分がエンジンオイルに混ざってオイルを劣化させる直接原因にもなるらしい。

 

そんな訳で、PEAの入った燃料添加剤は『ただ入れ続ければ無条件でエンジンの健康寿命を延ばす魔法のお薬である』という間違った認識はあまりもたないほうがいいような気がする。

そんな小細工をするよりも、たまにエンジンを高回転まで回して長時間走ったり、エンジンオイルを5000km毎に交換してあげたほうが車の健康寿命的には確実に良いのではなかろうか。